隣人の狂気
そして待つ事もなくやって来た定休日。早起きしてしっかり朝食をとり準備を整える。

駐車場へ向かい車へ乗り込むがまだ出発はしない。

カーナビに行き先をセットしなくては道がよく分からないから。

買ってからかなり経つけど今だに使いなれないカーナビに苦戦していると、ワタシの部屋の真下に住む102号室さんがどこかから車で帰って来た。

彼は三十歳過ぎ位のおじさんで、同じアパートに住むようになって2、3年になるけど、お互い名前も知らない。

たまに駐車場ですれ違う時に挨拶するだけの仲だ。

彼は車の中のワタシの視線に気付くと、すぐにやんわりと微笑んで会釈してきた。

ワタシも会釈を返しながら(また会釈を先にされてしまったな)と思った。
< 168 / 203 >

この作品をシェア

pagetop