隣人の狂気
「それで血まみれになったイクエちゃんはその後どうしたの?」

奇妙な事だがお互い自己紹介をして少し話しただけで妙に打ち解けてしまい、いつの間にかお互いを名前で呼び合っていた。

「うん。予定ではムセかえる程の血の匂いに酔うつもりだったんだけど、あそこめちゃくちゃ風通しいいじゃない。

なんだか興ざめしちゃってすぐに海に入って血を洗い流したわ。

そのためにあらかじめ裸になっておいたんだし」

思い出しながら少しスネるようにするイクエを見てユウイチは素直にかわいいなと思う。

「自分が殺した幼なじみの死体のそばで海水浴とは大したイカレっぷりだね」

思った事とは裏腹な皮肉を飛ばすとイクエはかえって機嫌を直した。

「イカレてるのはユウイチさんも一緒でしょ」
< 186 / 203 >

この作品をシェア

pagetop