隣人の狂気

犯罪の前と後

本を読もうと思って部屋へ帰って来たはずなのに、結局手にとる事もなくテレビを見始めてしまった。

いや見ている訳じゃなく眺めているだけだ。

今日は事件の事を思い出したせいで、何事にも集中出来ない。

カーテンを閉め切って窓を開ける事のないこの部屋の空気は淀んでいる気がする。

ソファーの背もたれに体重を預け、天井をぼんやり眺めながらタバコに火をつける。

「フゥー…」

まるで溜め息のように煙を吐き出すと、一段と空気が淀んだ気がした。

< 26 / 203 >

この作品をシェア

pagetop