隣人の狂気
ワゴン車はこちらに後部を向けて駐車してエンジンを切った。

すぐに運転席から男性が降りてきて後部のハッチバックを開ける。

その時、俺の位置から車内が丸見えになった。

間違いなく彼は一人だ。

彼は車内から釣り竿とタックルボックスだかクーラーボックスだかを下ろして車の鍵を掛けた。

そして釣り竿を手に持ち、ボックスについているベルトを肩にかけて海に向かって歩き出した。

つまり俺の方へ。

つまり死に向かって。

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