隣人の狂気
気が付けば彼はグッタリとして抵抗を止め、動かなくなっていた。

だが死んではいない。

時々むせながら荒い呼吸をして呻いている。

彼の腫れ上がってしまった顔をマトモに見たら、なぜか我を取り戻した。

俺の心臓は狂ったように早鐘を打ち、呼吸は過呼吸になりそうなほどだ。

彼の上からどき、一歩離れて息を整えながら彼を見下ろした。

彼に先ほどまでの面影はなくなり、逃げる事さえ出来ず無力に地面に転がっている。

強い罪悪感を感じ、(救急車を呼んで来る前に逃げようか)などという考えが頭をよぎる。

ダメだ。

顔も車も見られている。

このままでは確実に捕まってしまうだろう。

最後までやり遂げなくてはイケナイ。

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