隣人の狂気

雨が洗い流す

彼の最期の姿を懐かしささえ感じながら思い出しつつ、コンビニの店先を離れ車に戻る。

運転席に座り、まずタバコに火をつけてからエンジンをかけて煙がこもらないように窓を少し開けた。

窓から湿った風が吹き込んで来た。

(雨が降りそうだな)

と、思った直後本当に降り始めた。

一滴、二滴、三滴と数えるのも束の間、すぐに数えきれないほどの雨粒に包まれた。

乾いていた路面は濡れて色を変え、路肩では早くも小川ができ路面に浮いたホコリを流していく。

雨は流していく。

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