隣人の狂気
そう言えば、吸い殻入れのペットボトルを手に車へ戻る時、一旦足が止まった。

彼の財布を奪う事を思いついたからだ。

(結構持っているかも知れない。腕時計はどんなのをしている?車にも金目の物を積んでいるかもだ。…いや待てよ…)

一瞬でさまざまな考えが頭を駆け巡った。

だが結局手を出さずに車へ戻った。

一瞬の思考の中に恐れと打算があったからだ。
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