隣人の狂気
『ずっと眠っていて、たった今目が覚めた』そんな気分になった。

不振がられるのがイヤで近所のいつものコンビニを避け、郊外の大型ショッピングセンターまで車を走らせた。

人混みの中に紛れたかったからだ。

するとビックリするほど世間は当たり前の日曜日だった。

誰も俺に注目しない。

後ろ指を差したり慌てて警察へ通報したりしない。

怯えていた二日間がまるで馬鹿みたいだ。

みんな笑顔でショッピングを楽しんでいるように見えた。

そんな物なのかも知れないなと、悟りにも似た感覚で納得した。

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