隣人の狂気
建物の隙間に一歩入った所で俺も足を止めた。

ほとんど光が入ってこない中で向かい合う。

お互い無言のまま相手を観察していた。

(目が…目だけがスゲー光ってる)

凄く可愛いと思った。

そして凄く殺したくなってきた。

それらの因果関係は分からないが、とにかく強い欲求を感じ体が火照っていく。

懐から包丁を取り出しタオルをほどいてポケットにねじ込んだ。

その間彼女は動かなかったが、俺が包丁を出したのを見て笑みが一層深くなった。

彼女もまた心に狂気を抱えているのがハッキリ伝わってきた。

印象的なその目から。

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