隣人の狂気
不意を突いて一瞬で終わらせるつもりがモロに向き合ってしまい、殺すタイミングを掴めずにいたら彼女が話かけてきた。

「こんばんは102号室さん。今日はとっても月がきれいね」

「そうだな202号室さん。満月の夜はいつもと違う事がありそうでワクワクするよ」

二人とも完全にリラックスしている。まるで陽の当たる縁側での会話だ。

「確認しておきたいんだけど102号室さんは私を殺そうとしてるんだよね」

「そうだよ」

「どーして?」

「今ここにいたからかな」

俺がそう言うと彼女はガッカリしたように言った。

「なんだ残念。私はアナタがアナタだから殺したいのに」

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