君に捧ぐ…☆
「あっ」
稜と2人で帰っていると稜が声を出した。
「どうしたの?」
「マフラー…」
「あっ」
それは前稜の家に行った時忘れて帰ってしまったマフラーだ。
「今から行く?」
マフラーよりも稜の家に行きたくて答えた。
「うんっ」
稜の家につくと玄関の前で誰か話していた。
「あっ」
あれは歩美さんだった。
歩美さんと誰かが話している。
「高山さんとフミさんだ…」
稜は言う。
フミさんとは稜の家の家政婦みたい。
「行こう…」
そう言う稜に戸惑いを感じた。
歩美さんの所へ行きたくなかったから…
「大丈夫だから…」
稜はそう言うとつないだ手を強く握った。
「うん…」
私も強く握り返した。
玄関に近づくと歩美さんも私達に築いた。
「稜…」
「何しにきたの?」
歩美さんと稜の会話が始まる。
フミさんは頭を下げて家入っていった。
「稜に会いにきたの…」
静かに歩美さんは言った。
胸がチクりと痛む。
「転校するんだってな…」
稜は歩美さんの言葉を無視して言った。
「うん…だから稜に会いたくて…最後に…」
悲しそうに歩美さんは言う。
私はぎゅっと手を握る。
「そっか…でも俺は会いたくない…」
稜の言葉に少し安心した自分がいる。
「でも私は好きなの!!もう会えなくなるんだよ?」
歩美さんが言うと稜の表情が変わった。
多分会えなくなるって言葉に反応したんだろうな…
だって抱きしめてくれたあのとき
寂しげな顔してたから…