愛してるの言葉だけで。


──バンッ…


私は無意識に家を飛び出した。



「うわっ!」


「か、花菜?」



家の扉を開けた瞬間に、なぜか花菜にぶつかりそうになった。


少し興奮が花菜を見たおかげで収まった。


なんで…花菜が?



「どうしたの、花菜…」


「あ、幸信くんを思い出したの!」



え…

幸信を思い出した?


花菜はカバンから紙らしきものを取り出すと私に差し出した。


その紙は写真だと見てわかった。



「…っ……」



私は、その写真をみて息が止まりそうになった。


幸信……


なんで写ってるの?


その写真には幼い頃の私と花菜と……私が知ってる幸信の姿があった。


幸信は幼くない。

私が知ってる幸信の姿だった。
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