愛してるの言葉だけで。
そんな時に事件は起きた───
その日、夏希は公園でゆう兄が帰って来るのを待っていた。
まだかなぁ…
「あ!ゆう兄だ!」
ゆう兄を見つけた夏希は公園を出てゆう兄がいる歩道に走った。
夏希は、早くゆう兄と遊びたいと気持ちが大きくて車が来ていることに全く気づかなかったんだ。
「ゆうにーぃ!!」
「ん?…夏希!危ない!!」
ゆう兄は、やっと車の存在に気づいた夏希をかばうように夏希を突飛ばした。
──ドンッ…
その場に鈍い音が響いた。
ゆう兄は夏希を逃がすことはできたけれど、自分が逃げ遅れてしまった。