愛してるの言葉だけで。
夏希は擦りむいた膝が痛んだが力を振り絞ってゆう兄がいる方を見た。
「ゆ…う兄?」
凹んだ車…
赤い血が沢山…
倒れた…赤いゆう兄…
ゆう兄、起きて…
遊ぼうよ…
笑ってみせて…
わからない。
何でゆう兄が寝てるのか…
何で真っ赤な血が沢山なのか…
何で車が凹んでいるのか…
夏希は体を引きずりながら、ゆっくりとゆう兄に近づいた。
そして、夏希はゆう兄の体を揺さぶった。
「ゆう兄、起きて……起きないとっ…」
夏希は溢れた涙すら気にせず、ゆう兄を揺さぶって声をかけた。