愛してるの言葉だけで。


おばさんは夏希の頭を撫でながら言った。



「あんたは強いね…だから、きっと大丈夫だ。お兄ちゃんは生きとるよ」


「…うんっ…」



そこから夏希の意識はプツンと切れた。


起きた時には病院のベッドの上だった。


夏希以外、病室には誰もいなかった。


お母さん…

お父さん…


どこにいるの?

なんでこんなところにいるの?



「夏希!!」



その時、窶れたお母さんが夏希の病室に入って来た。



「夏希……ゆうくんね、死んじゃったんだって…」


「ゆうくん?……ゆうくんって誰?」


「えっ?」



お母さんは夏希の発言にただ驚いていた。


事故があってからの夏希の行動を野次馬達から聞いていたし、

なにより夏希がゆう兄のこと大好きだってよく知っていたから…
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