愛してるの言葉だけで。
どうして、幸信は私にそんな優しい言葉をかけられるの?
普通は、私のせいで死んだんだって怒るところでしょ?
優しすぎるのもダメだよ。
──俺さ、よく考えたんだ。…やっぱり幽霊でも感情はあるんだよな。
感情?
幸信の姿が見えないから私の全神経は幸信の声に集中する。
──ごめんな夏希…嫌いだとか言って。夏希にとって離れることが一番だと思ったから。心にもないこと言っちまった。
「え?」
──俺な、夏希が心配でずっと夏希の傍にいたんだ。死んでからずっと……
死んでからずっと?
私の近くにいてくれていたの?
夕月夜の暗闇が静かに私を包んでいた。