愛してるの言葉だけで。


どうして、幸信は私にそんな優しい言葉をかけられるの?


普通は、私のせいで死んだんだって怒るところでしょ?


優しすぎるのもダメだよ。



──俺さ、よく考えたんだ。…やっぱり幽霊でも感情はあるんだよな。



感情?


幸信の姿が見えないから私の全神経は幸信の声に集中する。



──ごめんな夏希…嫌いだとか言って。夏希にとって離れることが一番だと思ったから。心にもないこと言っちまった。


「え?」


──俺な、夏希が心配でずっと夏希の傍にいたんだ。死んでからずっと……



死んでからずっと?

私の近くにいてくれていたの?


夕月夜の暗闇が静かに私を包んでいた。
< 126 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop