愛してるの言葉だけで。
──成長していく夏希を見るのが俺の楽しみだったんだ。でも、いつからか…見てるだけじゃ足りなくなったんだ。
「だから私に声をかけたの?」
──そう。……お前はまだ俺のこと好き?
「え?なに言って…」
──正直に答えろよ。
正直に答えろって……
「好きだよ……」
"好き"私の正直な気持ちだよ。
嘘、偽りない私の気持ち。
「俺も夏希が好き…」
その声は私の耳に届いた。
その声は私の心に届いた。
だから、私は後ろを振り返った。
そこには、かっこよくて優しくて夏希を幸せにしてくれる幸信が立っていた。