愛してるの言葉だけで。
こんな時にお母さんの愛情が見えるなんて、私はなんて"親の心子知らず"なんだろうか…
私が記憶を無くしたことにお母さんは心を痛めていたんだなぁって、今ならわかる。
お父さんもそれは一緒のはず…
「お母さん…ありがとう」
私は、お母さんの耳の横に顔を出して言った。
「あら珍しい。明日は雨かしらねぇ…」
「明日は雨降っちゃダメだよ。ゆう兄の命日なんだから……」
私の言葉にびっくりしたのか、お母さんは私の肩を持ち顔を覗かせた。
「夏希、まさか……」
「うん。全部思い出した…」
お母さんは口に手を当てると泣き出した。
お母さん…
辛い思いしてきたよね?
本当にごめんね。