愛してるの言葉だけで。
──ピンポーン…
家族を代表して、お父さんが幸信の実家のチャイムを押した。
胸がドキドキしてきた……
──ガチャ…
家の扉が開いた。
顔を覗かせたのは、この前すれ違った時に頭を下げてきたおばさんだった。
幸信のお母さん…
お父さんとお母さんが頭を下げたので、私も二人に続くように頭を下げた。
「坂井さん。どうも、わざわざありがとうございます。今年は夏希ちゃんも一緒なんですね…」
そう言った幸信のお母さんは、私を見つめながら微笑んだ。
今年"も"?
もしかして……
「母さん達ね、毎年ゆうくんの命日には松田さん家にお線香をあげに来てたの」
「夏希も記憶を取り戻したしな。今年は三人でこれて良かった…」
全然知らなかった。
本当に私は全てを忘れて、お母さん達を困らせてたんだね。
ごめんなさい。
本当に、ごめんなさい。