愛してるの言葉だけで。


「本当よ。夏希ちゃんのせいじゃない」


「私は、あの事故から今まで一回もゆう兄のことを考えたことがなかったんです!そんなの、ゆう兄が可哀想すぎます!」



私は感極まって声が大きくなってしまった。

幸信も俺が死んだのは私のせいじゃないと言ってくれた。


だけどね、


結局は私をかばって幸信は死んで逝ったんだよ?

幸信やおばさんが私のせいじゃないと言っても、私が納得できないの。



「夏希ちゃん、ありがとう…」



おばさんは大粒の涙をいっぱいこぼしながら私に言った。


ありがとう?



「夏希ちゃんがそう思ってくれてるだけで幸信は報われる。きっと幸信は夏希ちゃんを助けたこと後悔してないと思うわ」



私はこらえきれなくなった涙を流した。
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