愛してるの言葉だけで。
幸信とおばさんがもっと意地の悪い人だったら良かったのに…
どうして私を責めないの?
どうして文句を言わないの?
どうしてありがとうなんて言うの?
逆に惨めになってくるよ…
「私はね、あの事故があった日のことを全部聞いたの。夏希ちゃんの行動もね……幸信を懸命に助けようとしてくれていたんでしょ?凄く嬉しかった」
──ピンポーン…
その時、軽快にチャイムが鳴った。
おばさんは「ごめんね」と言って玄関に向かった。
優しい幸信を慕う人達はきっと多いはず。
私はやっぱり幸信の死が自分のせいじゃないとはどうしても思えない。
この胸の痛みを忘れてはいけない。
それが、私をかばって死んで逝った幸信への償いと
幸信を好きになった私の意地。