愛してるの言葉だけで。


「夏希、お線香あげておいで」



お父さんとお母さんが畳の部屋からこっちへ帰って来た。


私は「うん」とうなずくと畳の部屋に向かった。


畳の部屋は、お線香のあの独特の匂いが充満していた。


私は仏壇の前にある座布団の上に座ってお線香をあげた。


──チーン…


幸信とはもう随分といっぱい話しているから、何をここで思って手を合わせればいいかわからないね。


でも、とりあえず"ごめんね"?

あと、"ありがとう"。


それと、照れくさいけど……

私を好きになってくれてありがとう。
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