愛してるの言葉だけで。
「行ってきまーす」
いつもと変わらない朝なのに、全然違う世界にいるような気分になる。
『入学式』ってだけでこんなにドキドキしてる……
上を向いてもピンク。
下を向いてもピンク。
そんな道を私はゆっくり歩いていた。
周りの人は同じ制服の人もいれば、違う制服の人もいて。
全てが新鮮で…
今の私には『ウキウキ』という言葉がピッタリだった。
───夏希、ニヤニヤすんなよ。きもいって思われるぞ?
「えっ?」
幸信の言葉に私は恥ずかしくなって、両手でほっぺを包み込んだ。
私、ニヤニヤしてる!?
───ふっ…
幸信が…
……笑った?
次の瞬間に、なぜか私は走り出した。
自分でもわけがわからなかった。
でも、
気持ち良かったのを今でも覚えている。
……青春してる感じかな?
それは、それは、幸せな風が私の体を包み込んでいた。