愛してるの言葉だけで。


私達は近所迷惑も歳もなにも考えずに、


ただ、騒いだ。

ただ、楽しんだ。


夜の静かな公園に私達の華やかな笑い声だけが響いていた。



「見て!ダブル~」



そう言って麻子は両手に花火を持ち、振り回していた。


あ、危ない!


だけど、そんなこと言ったらKYな気がして……

ただ、笑っていた。


そんな楽しい時間は過ぎ去るのが早くて…



「あ!……最後だぁ…」



いつの間にか残り三本になっていた。


一人一本ずつ花火を持って最後の花火にオレンジ色の火をつけた。


──シュボッ…


花火の火が暗闇の公園を軽く照らした。

だけど、その明かりも長くは続かない。



「あーあ。終わっちゃったね…」



なんだか寂しい気持ちになった。
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