愛してるの言葉だけで。



「はぁはぁ…」



早朝ダッシュは息が上がってキツい。


胸が、苦しい。

胸が、張り裂けそうに痛い。


だけど幸信を失ったこの胸の痛みに比べれば、どうってことない。


意識が朦朧とする。


でも、私の足は止まらない。


まだ誰も来ていない学校内に入り、階段を上がって行った。



──バンッ…



屋上の扉をおもいっきり強く開けた。


再び朝の日射しが私を襲う。

薄暗い、朝の独特の空気感に心が染みる。



「はぁ…はぁ…」



息が苦しい。

涙が出てくる。



──ガシャンッ…



屋上の柵に体を預けた。
見上げた空はどこか寂しげだった。


ねぇ、幸信。

私、苦しいよ…


こんな思いから助け出してほしい。


もう、嫌だよ…


誰か…助けて…
< 198 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop