愛してるの言葉だけで。
その後の記憶は曖昧で、洋子をあんなにしたやつらをボコボコにしたまでは覚えてるんだけど…
それから記憶が飛んで、目の前にカミソリで手首を切った血まみれの洋子の姿があったのを覚えている。
横たわっている洋子の右手にカミソリ、左手に紙切れが握りしめてあった。
【ごめんなさい。大好きだよ】
そう、ぐしゃぐしゃの紙切れに洋子の字で書いてあった。
「くっ…うっ……ごめんな…洋子…ごめん、ごめんな」
俺は、強く強く洋子を抱き締めた。
俺は、洋子を守れなかった。
最低だよ、俺。
俺が死ねば良かったのに…
どうして洋子が?
後から分かった話、洋子に乱暴したやつらは俺が前にむしゃくしゃしていて喧嘩した相手だった。
ずっと、仕返しする機会を伺っていたらしくて…
結局、俺のせいで洋子は死んだ。
俺が喧嘩なんてしてなけりゃ洋子は死なずに済んだのに……
俺が歩んで来た人生が
これから洋子が歩もうとしていた人生を
むちゃくちゃにした。