愛してるの言葉だけで。



──────
─────────


気づけば俺は洋子のそっくりさんに全てを話していた。


…本当にそっくだ。


ほら、そうやって人の話を聞いただけで感動し涙を流すところとか。



「俺は洋子とのことがあって人と関わることが怖いんだ…」



どうしてだろ…

坂井には包み隠さずに全て話せる。

やっぱり洋子に似てるから?



「大丈夫だよ。きっと大丈夫…。みんな、洋子さんみたいにいなくならないよ?大丈夫、大丈夫…」



不思議だ。

こいつが大丈夫だと言うと、本当に大丈夫のような気がする。


──ドキッ…


何を思ったか、坂井が俺の手を握り、


「少しずつ頑張ろう?」


と言った。



少しずつか……

大丈夫か?

いや、きっと大丈夫なんだよ。



少しずつ前に進めば。

この手を信じていれば……



洋子…

見ててくれよ…



俺、がんばるから。

< 55 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop