愛してるの言葉だけで。
「…うっそ!?」
私は驚きのあまり、自分でもびっくりするくらい大きな声を出してしまった。
手のひらを口に当て、周りを見渡した。
「夏希ちゃん声が大きい…」
そう人差し指を口の前で立てながら言ったのは、聖也くんだった。
だって…
聖也くんが悪いんじゃん。
──俺、リズム感全然ないんだ…
なんて言い出すから…
なら、どうして指揮者なんかに立候補したんだ…
と、聖也くんに心の中でツッコミを入れて私はため息をもらした。
「…特訓する?」
「うん!するする!」
聖也くんは大きく相づちをうった。
そして、みんなには秘密で聖也くんの指揮の特訓が始まったのだった。
聖也くんは変にプライドが高くて、みんなにリズム感がないことを知られたくないらしい。
まあ、分からないこともないけど…