愛してるの言葉だけで。
「夏希は麻子とは違うのよ」
「聞いてたんじゃん!」
花菜は私達の会話を聞いていたらしく、そう言った。
彼氏かぁ…
でも、私も欲しいかも…
───夏希には、まだ早い。
すると頭の中で、また声が響いた。
あの合格発表の時と同じように。
…誰? 誰なの?
私は辺りを見回したが周りに男の人は全くといって居らず、私は少し戸惑った。
「夏希?どうかした?」
「ううん、なんでもない…」
心配そうに麻子と花菜が私の顔を覗き込んでいた。
この声は、
なんなんだろう…
その後、私達は世間話や他愛のない話をして解散した。
一人で暗い夜道を歩いた。
高校生になるっていっても夜道はやっぱりすこし怖い。
───大丈夫か?
大丈夫か?って…
「その声の方が、よっぽど夜道より怖いんですけど…」
一人言を言っている自分に少し笑えてきたが、さすがに怖いと思い駆け足で家に向かった。