愛してるの言葉だけで。


幸信はそれを察知したのか、

「んじゃ、消えるわ」

と言ってスーッと姿を消した。


私はそれに安心して肩を少し落とし、深呼吸をして━どうか信じてくれますように━と強く願った。


だって、いくら仲が良いからと言って"幽霊を好きになった"だなんて誰が信じてくれるだろうか。


変な緊張があった。



「今から私が言うこと信じてね?」


「「うん」」


「私の好きな人は…──」



次の言葉を言った瞬間に麻子は『えぇぇぇええ!』と叫び、花菜は目を見開いて言葉を失っていた。


うん、二人とも正解なリアクションだよ。



『私の好きな人は…幽霊なの』



凄い発言してるなって自覚してる。

だけど、れっきとした事実なんだもん。


私は、幸信が好き。

例え、幽霊で死人でも

この事実は変わらない。
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