愛してるの言葉だけで。
ニコニコ笑っている麻子の隣に、眉間にシワを寄せて考え事をしている花菜の姿があった。
…花菜?
「幸信って聞いたことあるんだけどなぁ……あー!思い出せない!」
「なによ花菜……ねぇ夏希?」
「う、うん…」
「なんか、ひっかかる…んー」
私と麻子は必死に思い出そうとしている花菜を見ていることしかできなかった。
この時、花菜が思い出そうとしていることを私は真剣に考えていなかった。
だけど、私は忘れてはいけないことを忘れてしまっていたんだ。
どうか、愚かな私を許して…
幸信…───
馬鹿すぎた私。
幼すぎた私。
謝っても謝りきれないよ。