愛してるの言葉だけで。


結局、その後も花菜は何も思い出せなくて「思い出したら言うわ」と言って私達は解散した。


そして、グッドタイミングで幸信が帰って来たから今は幸信と二人で家に向かって歩いている。



「なぁ…夏希の好きな人って誰?」


「え!?ひ、秘密だよ!」



不意をつかれた幸信の質問に焦って上手く言葉を発せられなかった。


幸信だよ……なんて言えない!

口が裂けても、絶対に言えない。



「ケチだなぁ~、言ってくれれば俺が恋のキューピッドになってやるのに……」



──ドクンッ…


幸信は…


私に好きなひとがいてもなんとも思わないんだね。


それどころか手伝ってくれるってことは、本当に私のことなんとも思ってないってことだよね。


なに今さら残念がってんの?


幸信が私のことなんとも思ってないって、わかってたことじゃない…


だけど、わかっていても傷つくものは傷つくんだね。


幸信は何で、

私の傍にいてくれるの?
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