Garden4
香水
お客さんから、ふわりと香った匂いに思わず、心が和んで。
病気だな、と自分を笑う。
そんなに、長い時間が経っただろうか…
温もりを思い出そうとしてやめた。
欲しくなるだけに決まってる。
カウンター越しに、香りの主を見る。
いつも決まったパスタを頼む、よく知った顔だった。
視線に気づいた彼女に、営業用の笑顔を返して言った。
「ごゆっくり」
どーも、と間延びした返事をして、アイスコーヒーに手を伸ばす彼女から、またあの甘い香りが広がる。
やっぱり、忘れるなんて無理かもしれない。
魅惑の香り、禁断の甘い誘惑。
禁煙四日目の昼下がり。