愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
たぶん今の私は熟したりんごみたいに顔を真っ赤にしているに違いない。
顔が火照って仕方ない。
もうはっきりいって岳尚様なんかどうでもいい。
このまま香椎くんとデート出来るのなら、むしろ岳尚様に感謝する。
どこにデートかなぁ?
遊園地?
それとも水族館?
映画館ってのもありよね。
「……さま、お嬢様っ!!」
香椎くんの声が耳に飛び込んできて、私は我に返った。
ダメすぎる。
好きすぎて妄想でがっつり走り込み、陶酔状態に陥る寸前だった。
デートもしてないのにこんなんじゃ、先が思いやられるよね。
でも今日の香椎くんはいつもよりも……カッコいいんだもん。
これが仕事とかじゃなかったら……もっと嬉しいんだろうけれど。
「これ、不用意に触らないでくださいね」
そう言ってテントウムシくんをコツコツと指で弾いて見せた。
不用意に触らないでって……最初からそう言えよ。
「っていうかなんで防犯ブザー?」
「護身用に決まってるでしょ?
ちなみに止めることができるのは私だけです。
私の指紋に反応して止めることができるようになっている特別製ですから、本当に私と離れてしまい、お嬢様の身に危険が及んだ時にお使いくださいね」
物騒な事言わんでおくれ、香椎くん。