愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「それからそれ、一応GPS機能付きなので。
『最悪』、私と『はぐれる』結果になったとしても、お嬢様の位置は把握はできますので、『危険』なときには『絶対』に駆けつけますからご安心を」
私の眉はくっつくんじゃなかろうか?
そう思うほどに険しい顔になりつつある。
信じているともさ。
勿論、香椎くんのことだからそんなことなりっこないというか、させないだろうというのも。
でもなんだか不安ばかりが先行する。
岳尚様がなにを考えているのか?
香椎くんがなにを考えているのか?
私には何一つ分からなくて蚊帳の外。
一つだけでもいい。
なんでもいい。
ほんとうにつまらないほど小さなことでもいい。
なにか知りたい。
心からそう思うのにな。
「さぁ、いらっしゃいましたよ」
香椎くんの言葉に私は顔を玄関の方へと向けた。
エントランスにずかずかと胸を張ってにこやかに笑って入ってくる岳尚様の姿が目に入った。
香椎くんとは対照的な真っ黒な姿。
黒のパンツ。
黒のシャツ。
黒の帽子。
黒の靴。
なんか……香椎くんと並ぶと碁石かオセロかってかんじがしてくる。