愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「おはようございます、セリさん。
それから……執事さん」
岳尚様は私の手を取ってそこに唇を近づけ、優雅にお辞儀して見せた後。
香椎くんにちらりとだけ視線を送り、右の口角だけをあげて不敵な笑みを乗せた。
「今日はボクたち、正反対ですね。
やはり、これは『血』のなせる業……なのかな?」
意味深な発言だと思い、香椎くんを見る。
香椎くんはと言えば、まったく顔を変えることなく穏やかで物腰の柔らかな青年を思いっきり演じながら
「岳尚様が『黒』が好きだということは『存じて』おりましたので」
と返していた。
瞬間、火花が散る。
っていうか、頼むよ。
頼むから、私の頭上で火花散らすの止めてよ!!
会っただけでこうなんだから、このあと一緒に行動したらどうなるんだよ~!!
「まぁ、かぶらなくてよかったので良しとします。
それに時間が勿体ないですからね。
では、参りましょうか、セリさん?」
指先を握られたまま、岳尚様に私は連れられて行く。
そんな私の背を守るかのように、香椎くんがついてくる。
「それにしても、『ダブルデート』……ということではなかったのですかね?」
香椎くんの問いかけに、岳尚様はくつくつと喉を鳴らした。