愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

「相手が気になりますか?」


挑発するような岳尚様の視線が香椎くんに飛ぶ。

その視線をしっしっと追い払うようなしぐさをしてみせながら、香椎くんは「別に」と呟いていた。

つーか、主人の婚約者に取る態度じゃないよ。

いいのか?
ほされんか?

ねぇ、香椎くん!!


「車にはおりますからご安心を」

「私のお相手はお嬢様以外には考えておりませんので、あしからず」


またしても。
またしても火花が散る。

香椎くんと岳尚様。

まったく真逆な臭いがプンプンするのに、なにか共通項みたいなものが見え隠れする。

でも、なんでまたこんなに仲が悪いんだろうか?

血?

二人は血縁関係でもあるんだろうか?

ますます謎で、私は小首を傾げてしまう。


そんな私をしかし岳尚様は気にかけることをまったくしない。

なんかなー。

初めから思ったんだけど……この人はもしかして私よりも香椎くんに興味があるのではないかなぁ?

だって、普通は気づいて言うものだと思うのね。


『今日のセリさんは雰囲気違いますね』

とか。

『今日はいつもと髪型が違いますね』

とか。


明らかに違うと思うのに……岳尚様はまったく気にしていないようなかんじなのだよね。
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