愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
デートは名ばかりだって分かってる。
将来のために距離を詰めようっていう趣旨も理解できる。
だけど。
これでいいのだろうかと立ち止りたくなる自分がいる。
こんな相手でいいのだろうかと問い続ける自分がいる。
振り返ったそこに香椎くんがいて。
どんな小さな私の変化も見逃さずにいてくれる。
私は比べすぎているのかな?
香椎くんは執事。
私は彼の主人。
執事が主人を気にかけるのは当然のこと。
そうでなければ成り立たない関係と言われてしまえばそれまでだ。
でも。
もしも死ぬまで一緒にいなければならないと言うのなら、私は自分のことに興味がなさそうな相手よりも、仕事と名がついても自分を見ていてくれる相手の方がいい。
「さぁ、どうぞお乗りください」
岳尚様は丁寧に私をエスコートしてくれる。
にっこりと柔らかな笑みを乗せ、優しさで満ちた雰囲気を醸し出して。
「ありがとうございます」
けれど、そこに心がないと……そう感じるのは私の心がこの人にないせいだろうか?