愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

「おや? 綾渡のお嬢様自身はどうやらご存じなさそうな顔しているけれど?

執事様なのに教えてなかったのか?」


にやりと岳尚様は私を見て笑った。

いったい、何がいいたいのか分からないし、なによりこの顔キモチワルイ。


「知る必要はないから教えなかった。

それは綾渡の当主殿も同じ見解だ」


香椎くんの言葉に岳尚様は眉間に深い皺を刻み、あからさまに嫌な顔をしてみせた。


「綾渡の当主を抱き込んで、おまえは何を企んでるのかね?

全面戦争はもはや回避できないよ?」


『全面戦争』?

それって『九条家』と『綾渡家』との戦争ってこと?


「真正面から受けるさ。

家など関係なく、個人的にな」


そう言うと香椎くんは抱きしめていた腕を解くと、岳尚様に詰めよってその腕を絞り上げた。

抵抗する間も与えないほど俊敏で、ムダがない動きで岳尚様の腕を取っている香椎くんの姿に私は呆然としかできなくて。


観覧車が陸地へと到着し、その扉が開くとすぐに岳尚様の身体を放り投げたのだった。


勢い余って岳尚様はヒキガエルみたいにその場に突っ伏すことになり……その背中を香椎くんはドカドカと踏みつけて行く。


っていうか、なにこの俺様ップリは……!?


香椎くんってこんなんだったっけ?
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