愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

だから、それ以上もそれ以下も聞けなくて。
聞けなくなって、私は口をつぐんだ。


聞きたい。
聞きたい。
彼の秘密。
彼の正体。


でも確約ってなんだろう?


私を求める彼は、一体なにを求めているんだろう?


彼は彼で。
私は私で。


それ以外、なにが必要なんだろう?


『秘宝』


それを聞いたら……なにかを失うような気がする。


なにを?


そう……彼を?


「遅刻は厳禁ですよ」


そんなふうに普通にキラースマイルを繰り出す香椎くんに、なんとなく小さな不安を抱きながら。

それでも私はうんと頷くしかなくて。


「オレも……まだまだ小せぇな……」


そんなふうに彼が呟いたことさえ気づけないまま。


ただ、少しだけ痛む胸を抱えてゆっくりと彼の開けてくれたその扉の向こうへと歩を進めることしかできなかった。
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