愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

「これなわけ……ないよねぇ?」


ツルツルした感触。

丸い。
本当に丸い平べったい石の感触。


そこにぶら下がっているものに視線を落とす。


白い。
透明感なんてまったくない。

白色の石。

なんていうか。

碁石をまんまペンダントにしたとでもいうのか。


「おばあちゃんに貰ったよ、確かにね」


おばあちゃんが亡くなる前に私にくれたもの。

確かに大事で、大切で。

自分にとってはかけがえのないもので。

母が小さい頃に亡くなってるから、代々ってわけではなくて飛んで私の手に渡ったものだけど。


「これがすんごい高価なものだなんて聞いてないし」


どこからどう見たって『碁石』そのものなんだけどね。


「これ以外に思い当たるものがない」


渡される時に確かに言われた。


『絶対に信じられる人にしか見せちゃダメだよ』


とはね。


それくらい大事なものとも言われたけど。


よもや、こんな小さな『碁石』を、あの『九条家』が欲しがっている……とは思えないじゃない?
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