愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
香純さんはボウガンを構えたまま、ゆっくりと私たちの方へと進んでくる。
その照準はいまだこちらに向けられていて。
ごくりと喉が鳴り、生唾を飲み込んだ。
「ラブシーンを邪魔してしまってごめんなさいね、セリ様?」
フフフ……香純さんが不敵に笑んで見せる。
私は香椎くんをかばうように彼の前に進み出ながら、彼女を睨みつける。
あれで香椎くんを撃ったんだ。
「どうしてこんなことッ!!」
「全ては紫丞家の御為よ」
「紫丞……!?」
その言葉に息を飲む私に、香純さんはニッコリと妖艶な笑みを浮かべて見せた。
まるで別人だ。
可愛らしい人のイメージがそこにはまったくない。
彼女は「そうよ」と答えるとチラリと香椎くんを見た。
「その人も紫丞の家の人間よ」
「え?」
「言うな!! 香純ッ!!」
香椎くんの怒声が背後から投げられた。
けれど香純さんはフッとその言葉を一蹴するように笑うとこう告げた。
「紫丞現当主の執事なのよ、その男は」
と――