愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

何度その名を呟いたか。

数えることもできないくらい、呪文のように。
おまじないのように。

祈りだったのかもしれない。

真っ暗な闇を引き裂くように一筋の光が真っすぐに私へと伸びてくる。

私の足元から徐々にそれは上って来て、私の顔を照らす。


「セリ!!」


聞こえたのは声だった。

聞き覚えのある低い声。

心地のいい、安心できる大好きな声。


「お兄ちゃん!!」


光の先に黒いシルエットが見えて、私は走り出していた。

駆け寄ってくるそのシルエットに向かって私は駆けより、飛び付いた。


「遅くなった。
でも大丈夫。
もう……大丈夫だよ」


そう言って強く、強く抱きしめられた。


「うん……」


きっと来てくれると信じていた私。

絶対に助けてくれると信じていたあの頃、あの時。


あの頃?
あの時?


私を助けてくれたのは誰?
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