愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

「なにがあってもキミを……オレは守るから」

だから大丈夫。
もう大丈夫。

怖いことは何もない。

きっと今からの未来には、私に怖いものはない。


だって、この人がいるから。


心地のいい声が耳元で囁いたあの頃、あの時。


ずっとずっと忘れ続けていた記憶。

ずっとずっと忘れ続けていた思い出。


知っている声なのに。
懐かしくて涙が出るのに。

その人物の顔はどうあっても見ることが叶わない。

思い描くことすらできない。


でも分かる。


体の全部で感じる。
五感のすべてで確信している。


私はこの人を知っている。

この人のことをよく知っている。


だってこの人は……きっと。


あの人だから――
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