愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
その瞬間。
目の前が一気に真っ暗になった。
その直後、今度はテーブルが青白く暗闇の中に浮かび上がる。
その光を反射するように、暗闇の中に私たちの姿がぼんやりと浮かび上がる。
シュッという音とともに、私の目の前に一枚のカードが姿を現した。
青白く光るテーブルの上を滑るようにして。
次に岳尚、紫丞孝明。
そしてまた私と。
繰り返し、カードは配られる。
けれど、配っているであろうディーラーの姿は見ることはこの暗闇の中では不可能だった。
ただ、宙に白いカードが浮かび上がって見える。
「怖い?」
岳尚が配り終えられたカードを自分の手元に引き寄せ、それを手に取った。
私は一度小さく深呼吸した後で、同じようにカードを手にする。
怖い?
なんて聞き方するのよ、この男。
「愚問」
怖いなんてもんじゃないけど。
こんなことで怖気づいていたって始まらない。
「ま、いいさ」
クスクスクスクス。
暗い空間に岳尚の小さな笑い声だけがこだまする。
紫丞孝明を見る。
彼は相変わらず物を言わず、静かにカードを手にしていた。
「さぁ、キミからだ。
綾渡セリ」
岳尚にそう言われる。
私は手元のカードをじっと見つめる。