愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「では各々『財産』を賭けて、勝負と行こうか?」
岳尚のその一言にビクッと肩が小さく震える。
『財産』を賭けて。
ここで負ければ一度目のチャンスが消えてなくなる。
「私は降りる」
紫丞孝明の言葉に目を見張り、そこに視線を急いで向ける。
なんの躊躇もなく、孝明は伏せたままのカードをディーラーへと戻していた。
「そう?」
クスッと岳尚は笑い、私を見る。
「セリさんはいいの?」
『降りなくて?』そんな言葉が聞こえてきそうだ。
私は答えず、じっと孝明を見る。
けれど、彼は静かに目を伏して腕を組んでいる。
なにを考えているのか、まったく分からないから混乱しそうになる。
ダメだ。
余分な事を考えちゃダメ。
私は私なんだ。
自分の人生。
他は関係ない。
「勝負……します」
自分の運を信じる。
ストレートなら……悪くはないはずだもの。
「いい根性」
言いながら、岳尚が自分のカードをオープンする。