愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
一枚、また一枚。
めくられていくカードに胸がギュッと締め付けられていく。
交換された岳尚のカードは『スペード』の『4』と『9』。
そして……オープンされて行くカードもまた『スペード』のカード。
それは最後の一枚まで変わらなかった。
「フラッシュ」
ニヤリ。
笑った顔に私はギリッと唇を噛みしめた。
自分の手元のカードをオープンしても『負け』は決まっていた。
『ストレート』よりも『フラッシュ』は役が高い。
勝負したけれど、その勝負に私は負けたのだ。
「ストレート」
手札をオープンしながらそう告げる。
「一度目のチャンス。残念だったね」
クスクスクスクス。
人を小馬鹿にしたような岳尚の笑い声が暗闇の中で響く。
そう、こんな『役』じゃ勝てないんだ。
『悪くない手札』じゃ勝てないんだ。
勝つために本当の意味で『勝負』に出なければ、ここでは『勝つ』ことが出来ないんだ。
それをまざまざと思い知らされる。