愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

配られたカードを見ても。
高い役を狙っても。

結局降りることを余儀なくされた。


二度目のゲーム。

私は『フラッシュ』を狙って『ノーペア』になる。

孝明は『フルハウス』で勝負に出たものの、岳尚が『フォーカード』で『負け』となってしまった。


三度目はと言えば。

私も孝明も『フラッシュ』で勝負。

岳尚は『フルハウス』。


3度のチャンスは見事なまでに簡単に無くなってしまった。


「惜しいねぇ」


その言葉にもう何度目になるか、私は唇を噛んだ。

悔しさも、歯がゆさもある。


確かに紫丞孝明は『負ける』ことが『必定』だと言った。

万に一つも勝てる見込みのないこの試合を、ではなぜしようと私に持ちかけたのか?

その意図も、その意思も分からない。

でも、香椎くんが絶対に信じているはずの人。

香椎くんを信じる私に対して、紫丞孝明本人も絶対的に信じているはず。

だから、大丈夫だというこの自分の勘を信じたい。

でも、どうしようもないところまで来てしまっている。


「次で賭けるものがなくなるよ、キミたち」


そう言って笑う岳尚をこの場でぶん殴ってやりたい!!


「さぁ、最後のゲームを始めるよ」


岳尚がどんな手を使っているのか。

次のゲームは落とせないのなら、せめてそれさえ落としたゲームで掴めていればと思うのに。

それがまったく分からない。

< 184 / 282 >

この作品をシェア

pagetop