愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~
「彼女を傷つけたらどうなるか、まだ分かってないんだな、おまえは」
あまりのことに。
心臓がドクンと……それまで聞いたこともないような音を立てた。
聞き慣れた声。
聞きたかった声。
聞きたくて。
聞きたくて。
泣きたくなるほど聞きたかった声が暗闇を引き裂くようにふって湧いた。
パチンッ!!
指を鳴らす音ともに、暗闇は元の明るさを取り戻す。
声の主はすぐそこにいた。
私の腕を掴んだ男の首を絞め上げるように腕を絡め、岳尚を睨みつけていた。
「香椎くん!!」
「紫丞の執事が!! どうやってここに侵入した!?」
驚愕の眼差しで香椎くんを見る岳尚はあまりの興奮で座っていた椅子を倒してしまっていた。
大きな音が響くその中で、香椎くんは男に「彼女に触れるな」と男を一括していた。
男はゆっくりと私から手を離し。
離れた瞬間には香椎くんによって、壁に投げ飛ばされていた。
「おまえら、なにを見ている!!
アイツをつまみ出せ!!」
部屋中にいる黒服の男たちに向かって岳尚が命令した瞬間だった。
それまで静かに座っていた孝明がスクッと立ちあがり、それまで見せたこともないような鋭い眼をして香椎くんに掴みかかろうとしている男たちの群れに駆け寄って行った。
激突。
そう言う表現がぴったりくるほどに機敏な動きで孝明は次々に襲いかかってくる男たちをなぎ倒していった。