愛して 私の俺様執事様!!~執事様は秘密がお好き~

呆気にとられる。

なんなの?
なんなの?
なんなの?

香椎くんよりも華奢に思える孝明なのに。

恐ろしいほど切れのある動きで蹴る殴る、果ては投げ捨てるというかんじで気絶する男の山を作っている。

それを涼しい顔で見ているのは香椎くんの方で……


香椎くんと目が合う。


「怖い思いをさせてすまない、セリ。
また遅くなったけど……理由はこのゲームを終わらせてからにするよ」


そっと私の頬に触れて……彼はゆっくりと孝明の方に近づいていった。

真っ白な立ち襟のスーツに身を包んだ香椎くんは、服の埃を払う孝明の肩にポンっとその手を乗せるとにこやかに笑い「御苦労さん」と告げた。


「勿体ないお言葉です、孝明様」


そう言って、紫丞孝明が香椎くんに向かって小さくお辞儀をして見せた。


って……!!


ちょっと今、あの人なんて言った!?

なんて言った!?


『孝明様』って言わなかった!?


香椎くんの名前は『毅臣』でしょ!?

『孝明』は『紫丞家』の『当主』の名前でしょ!?


香椎くんが『孝明』ならば……香椎くんが『紫丞』の『当主』?

じゃ、今まで『孝明』って言ってたあの人は『何者』なの!?
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